成田空港に向かう機中でこの文章を書いている。


3週間の旅もあっという間に終わりを迎えつつある。
今回は4年前に2カ月かけて回ったニュージーランドにもう一度行ってみたわけだが、相変わらずどこに行っても北海道のような風景が広がり、素晴らしい自然を堪能した。

多くの人々は親切で気さくだったので、ほとんどいやな思いをすることなく旅を続けることができた。


前回の旅と違うこともあった。

<違いその1>旅のスタイル
前回はキャンピングカーで回ったので宿の事前予約もせず本当に気の向くままの旅だったのに対し、今回は普通の乗用車での旅だったので事前に宿を全部宿泊しておいた。
やはり前回の方が旅らしい旅で、今回は決められたルートを回る窮屈さがあり、楽な反面ちょっとつまらなく感じることもあった。
しかも現地はクリスマス休暇や学校の夏休みで賑わうピーク時期で混雑に辟易することもしばしばあった。
まあこんな時期に旅する外国人(私たち)が悪いのだが。


<違いその2>物価
前回はNZドルが1ドル60円台だったのに今回は90円台。
何と5割もあがっていたので、ほとんどの物が日本よりもずーっとずーっと高くなってしまっていた。
安いと感じたのは牛肉とゴルフ代くらいだろうか。
かつて大橋巨泉が「ニュージーランドはオーストラリアよりもずっと物価が安くて暮らしやすい国だ。」と言っていたが、それは遠い昔の話になってしまった。
ニュージーランド人を日本の100円ショップや100円均一回転寿司に連れて行ったら大喜びすることだろう。それは彼らには信じられないような世界だろう。


<違いその3>息子
前回は保育園の年長組だった息子も現在は小学4年生。
前回は息子を遊ばせるために公園の遊具を探してばかりいた記憶があるが、もはや遊具で遊ぶこともなく、観光ミニ列車に乗ることにも興味を示さなくなっていた。
息子は前回の旅行で初めてゴルフ場でプレーした(遊んだ)のだが、今回はそれなりのプレーを見せ、スコアでも母親を上回っていた。
ただ、筋力がついた分ボールは左右に曲がることも多く、真っ直ぐにこつんこつんと飛ばす前回の面影はなかった。
前回は手がかかるばかりだったが、今回は皿洗いを担当し、たまに車のナビもしてくれた。
4年間の成長はすごいもんです。もう煩い旅のパートナーって感じだ。笑


違いを3つ書いてみたが、もっと大きな違いがあることに気がついた。
それは、私の旅についての感じ方である。
旅の楽しみの中で大きなものは私の場合は自然と接することで、今回も素晴らしい自然、野生動物に接することができた。
しかし、4年間山梨県北杜市で生活した経験がそうさせたのだろうが、自然等に対する驚き、感動が以前よりもちょっと小さくなったように思う。
都会に住んでいた頃は旅先で牛や羊の群れを見るだけで大喜びし、夜空に天の川を見つけて興奮したものだ。
それが今の山梨の生活で山々の景色は日常のものだし、星空も素晴らしい。野生のシカやサル等に出くわすことも珍しくはない。
当たり前っていえば当たり前だが、田舎で生活する者は日頃から自然に接しているのだ。
そんなわけで旅の醍醐味がちょっとだけ小さくなってしまったように思う。


しかしよいこともある。
旅の終わりは寂しいもので、以前はあのごみごみとした都会に戻るのかと憂鬱な気分になったものだ。
だが、今では自宅に戻っても豊かな自然があるので、それほどの憂鬱は感じない。


そもそも私はなぜ旅が好きなのだろうか。
もちろん自然に接するのも楽しいが、もっと突き詰めれば、日常の生活を離れ旅人になること自体が面白いのだ。


結局のところ、私の旅はまだまだ続くのである。じゃんじゃん。